今回は前回のCB戦術の考え方 Part1に引き続き、CB 戦術について紹介していきたいと思います。
◆CBとアドバンテージ◆
CBとアドバンテージには強い関連性があります。
まずはアドバンテージを理解することが大切です。
ポーカーにおけるアドバンテージは大きく3つに分けることができます。
●ポジションアドバンテージ
ポーカーにおいてポジションはとても重要です。
ポジションがあれば利益は大きく、損失は小さく、ポジションがなければ利益は小さく、損失は大きくなる傾向にあります。
これ以外に、ポットコントロールやブラフ、フロートの難易度にも影響を及ぼします。
●レンジアドバンテージ
レンジアドバンテージ とはレンジの優位性という意味です。
レンジとレンジを比較することで、どちらにエクイティのアドバンテージがあるのかを知ることができ、それはプレイをする上で重要なヒントになります。
この画像は、9人テーブルにおけるUTG(左)のオープンレイズレンジと、そのレイズに対するBB(右)のコールレンジを想定したものです。
UTGのオープンレイズに対してBBのみがコールでHUになり、フロップは
。
このフロップで2つのレンジを比較した場合、UTGのエクイティが58.44%、BBのエクイティが41.56%となり、レンジアドバンテージはUTGにあるということになります。
●ナットアドバンテージ
ナットアドバンテージとは、複数のハンドレンジの中でナッツに近い強さのハンドの割合の高さを比較したもので、その割合が高い方をナットアドバンテージがあるという言い方をします。
この場合のナッツに近い強いハンドの定義は状況によって変化しますが、基本的には2ペア以上のハンドと考えます。
上記のレンジアドバンテージで使ったUTGとBBのレンジと
のフロップを使い、ナットアドバンテージを考えてみます。
今回はナットアドバンテージの基準を2ペア以上とします。
この画像の左側がUTGのハンドレンジの内訳です。
UTGのレンジに中に2ペア以上のハンドは66のセットしかなく、2ペアもストレートもありません。
UTGのハンドレンジ内の割合としては2.29%になりました。
そして右側がBBのハンドレンジの内訳です。
BBのハンドレンジではストレート、セット、2ペアの全てを作ることができます。
BBのハンドレンジ内の割合としてはストレートが3.72%、セットが2.09%、2ペアが4.19%になり、全てを合わせると10%という高い割合になります。
つまりこの場合はBBにナットアドバンテージがあると言えます。
これらの3つのアドバンテージがそれぞれどのプレイヤーにあるのかということを考えながらプレイすることが大切です。
◆アドバンテージによるCBの考え方◆
上記のアドバンテージが影響することにより、CBサイズとCB確率も以下のように変化します。
●アドバンテージが大きいほどCB率が上がる
●CB率が上がればCBサイズは小さくなる
●CB率が下がればCBサイズは大きくなる
●アグレッシブな相手にはCB率が下がり、パッシブな相手にはCB率が上がる
アグレッシブな相手へのCB率が下がるのは、レイズやチェックレイズへの遭遇率が上がるからです。
ナットアドバンテージを理解しているプレイヤーは、ボードを見極めセミブラフハンドを含めてしっかりと攻撃してきます。
そのような相手に対しては、CBの中のブラフレンジを削りバリューヘビーにすることで対応します。
◆CBサイジング◆
CBをする場合、その後には必ずCBサイズを考えなければなりません。
そして有効なCBサイズを考えることは、CB頻度を考えることと同じくらい重要なことです。
CBサイジングを疎かにすると、バリューを取り逃がしたり、余計なリスクを取ることにもなります。
基本的にはポットの25%~100%の範囲の中でCBサイズを決めていきます。
もちろんオーバーベットが有効なシチュエーションもありますが、ここでは基本となるサイジングについて紹介します。
まずはレンジに含まれるハンドの強さによってCBサイズをどのように変化させるかを考えて行きましょう。
●中程度以下の強さのハンドが多く含まれるハンドレンジ
このような場合には、小さめのCBサイズ(25%~40%程度)が適しています。
例えばA94のフロップでミドルペアがヒットした場合、9にとってのオーバーカード(T,J,Q,K)に対してプロテクションすることができますし、それは小さなCBサイズで十分に効果が期待できます。
そして相手からアクションが返ってきた場合のチップを節約することにもなります。
●ポラライズしたハンドレンジ
このような場合には、大きめのCBサイズ(70%以上)が適しています。
ポラライズしたハンドレンジとは、すごく弱いハンドとすごく強いハンドの割合が高く、中程度の強さのハンドが少ないハンドレンジのことです。
強いハンドレンジでは複数のストリートで大きなバリューを狙うことができますし、弱いハンドレンジでは大きなフォールドエクイティを得ることができます。
その為には大きめなCBサイズが適しています。
それでは次にボードテクスチャによる変化を考えてみましょう。
●ドライボード
ドライボードでは基本的に小さなCBサイズが適しています。
例えばKK2のようなフロップでは、相手がこちらのCBに対してプレイを続けることができるハンドレンジはかなり少なくなります。
そしてこのようなボードでは、CBサイズの変化による影響が小さくなることも特徴の一つです。
どんな小さなCBでも89等のスーテッドコネクターはフォールドするでしょうし、Kを持っていればどんな大きなサイズにも降りることはありません。
これらのことから、小さなCBサイズで効果的なブラフをすることができ、さらにブラフのリスクを減らすことにもなります。
●ウェットボード
ウェットボードでは基本的に大きなCBサイズが適しています。
例えば
のようなボードではとても多くのドローが考えられます。
それらのドローに対してコールオッズを悪くする大きなCBをすることで、ドローに大きなリスクを負わせることができます。
そしてこのようなウェットボードでセットやストレート等の強いメイドハンドを持っていた場合、多くのターンカードがアクションキラーとなりバリューを引き出すことが困難になってしまう為、スロープレイは最も良くないプレイと言えます。