今回は ポーカーの基本戦術 第三弾として、ベットの意味について書いていこうと思います。
ポーカーの基本戦術 Part1とポーカーの基本戦術 Part2も合わせてご覧頂けると、より理解が深まると思います。
ここではベットの意味を大きく5つに分けて説明していきます。
それでは本題に入りましょう。
◆ベットをする意味 ◆
大きく分けると5つに分類され、それぞれが重複する場合もあります。
あるプレイヤーとヘッズアップ(1対1の勝負)になったとします。
そのプレイヤーはいいハンドを持っているときにはベットして、何も持っていないときにはチェックするプレイヤーだとします。
例えばそのプレイヤーがAKやAQでレイズしてきた時に、ヒットしなかったときには素直にチェック、ヒットしたときにはベット、というようにハンドへの依存度が極端に高いプレイヤーです。
もし彼にポジションがなく彼が先にチェックした場合、彼は何も持っていない可能性が高いので自分は何も持っていなくてもベットするだけでそのポットを獲得できる可能性が高いです。
ポジションの強みを生かして相手を降ろしにいくようなベットのことを、ポジションベットと呼びます。
②コンテニュエーションベット
自分がボタンからレイズイン(プリフロップをレイズしてから始める)して、BB(ビッグブラインド)のプレイヤーとヘッズアップになったとします。
相手がチェックした時に、プリフロップからの強みを生かしてフロップで続けてベットすることをコンテニュエーションベットと呼びます。
例えば相手がQJというようなペアではないバラバラのカードを持っていた場合、QかJがフロップでヒットしてペアになる可能性は約3回に1回です。
ということはつまり、そのようなハンドは3回に2回はノーペアということになります。
計算方法としては、相手がペアになるカードはQが3枚、Jが3枚の計6枚。6枚×2%で12%。12%でフロップのカードは3回(枚)出るので、その3倍で約36%となります。
そして相手がもともとペアを持っている可能性も低いです。
プリフロップでペアが配られる確率は1/17です。
大きいペアであればリレイズしているでしょうから、そのようなハンドは除外して考えることができます。
つまりもしBBの相手がペアを持っていたとしても、小さいペアである可能性が高くなります。
例えば
というフロップが来て、ベットされて
や
でコールするのは厳しいです。
相手はプリフロップでレイズしてから入ってきていますから、AやQを持っていそうに見えますし、実際に持っている可能性も高いです。
コンテニュエーションベット=ブラフという意味ではありませんが、プリフロップでレイズして入ったというイメージの強さを利用して、ベットし続けることがコンテニュエーションベットです。
コンテニュエーションベットという戦略はかなり昔から使われており、今現在ではそれに対応する技術も生まれてきてはいますが、基本戦略として重要なことは変わりありません。
例えば
のようなハンドでレイズインした時には、そのハンド自体で強い役を作ることもできますし、フロップに出たAやK等のハイカードも自分が持ってるかのように装うことができ、それによって相手にプレッシャーをかけることができます。
少し極端ですが、
のようなハンドをイメージするのがわかり易いかと思います。
これが自分がレイズインすることで主導権を取ることの利点の一つです。
を持っているときにツーペアになり、
というフロップが出たとします。
ポット100ドルに対していくらベットするのが好ましいでしょうか。
相手・人数・ポジションなどによりますが、小さいベットというのはドローにいいオッズを与えてしまいます。
例えば相手がこのボードで
のフラッシュドローを持っていたとしましょう。
相手が勝つために必要と考えるカードは、基本的に13枚のスペードから自分が持ってる2枚のスペード、そしてフロップに出ている2枚のスペードを引いたのこり9枚のスペードです。
実際にはKヒットでもまくれるので12枚ですが、相手のハンドはわからないので確実に勝てるのは9枚と見積もったとします。
自分が勝つためのカードは9枚、つまり18%(ターンのみ)です。
もしも100ドルに対して100ドルベットされたとすると、200ドルを獲得する為に100ドルを投資するわけですから、3回に1回(必要勝率は33%)はポットを獲得できなければ割に合いません。
今回の場合は5倍(18%)以上のオッズが必要になりますから、100ドルコールしたら500ドル以上のポットを獲得できないと割に合いません。
100ドルコールしてもポットはまだ300ドルですから、割に合うためにはさらに200ドルを獲得する必要が出てきます。
つまりインプライドオッズが必要になってきます。
では100ドルに対して40ドルベットされるとどうでしょう。
40×5倍で200ドル回収出来れば割に合うことになりますから、コールした時点でポットが180ドルとなり、あと20ドル獲得するだけで割に合います。
つまり小さいベットはドローハンドにいいオッズを与えてしまうので、ドローがたくさんあるようなボードの時には、強いハンドで強くベットするというのが基本的な考え方です。
小さくベットしても大きくベットしても相手が何も持っていなければフォールドされるだけです。
例えば相手がトップヒットのKTとか上述のフラッシュドローとかを持っていれば、ポットの8割ベットしてもコールされる可能性は高いでしょう。
相手がボトムペアの6ヒットやミドルペアの8ヒットの時には、いくら安くベットしてもリバーまではコールしてくれない場合が多いです。
④バリューベット(自分が勝っていると考え、相手のチップを引き出す為のベット)
自分が
を持っているときにフロップで
と出たとします。
フロップでベットしたらコールされ、ターンで が出てまたベットしたらコールされました。
相手はレイズせず、コールまでしか出来ていないのでワンペアの可能性が高いです。
リバーで が落ち、自分のハンドがベストハンドであることを確信してベットする。
これがバリューベットです。
この時には、相手がどのようなハンドを持っているのかを読む(ハンドリーディング)が重要になってきます。
相手のハンドレンジを考え、どれくらいのベットまでコールしてくれそうかを考えます。
ポーカーは基本的にフロップ→ターン→リバーと進み、ポットが大きくなるにつれて判断が難しくなっていきます。
ですのでリバーのバリューベットがうまくできるかどうかというのは、重要なスキルになってきます。
⑤インフォメーションベット(情報を得る為のベット)
自分が勝っていると確信できる状態以外では、ポットにチップを入れたくないという考え方は正しくありません。
ベットしてコールされること、レイズされることによって得られる情報があります。
例えば
というフロップで自分がポットの7割ベットしてコールされたとします。
相手が持っているハンドとしては、Aのワンペア、A~8の間のミドルペア(99等)、8のワンペア、フラッシュドロー、ストレートドロー、が考えられます。
続いてターンで が落ちてポットの9割をベットしたところまたコールされました。
ここで相手のハンドはAのワンペアの公算が高くなります。
弱いワンペアは2回ベットされたらコールされないでしょうし、ドローもオッズに合わないので考えにくいです。
ベットされてコールすると相手が何を持っているかはわかりません。
迷子の始まりです。
ブラフかも知れないし、ワンペアかも知れないし、ツーペアかも知れません。
でもベットされてコールされると相手のハンドは絞れます。
簡単にいえば、ブラフでベットは出来てもブラフでコールすることは基本的に出来ません。
ドローがたくさんあるフロップでベットに対してレイズが来ないということは、ペアであればワンペアなのかなという予想ができますし、またはドローなのかも知れません。
(ディープスタックの場合はポットを大きくしすぎないように、ツーペアでもコールしかしない場合もあります)
もっともこの相手のハンドを読む前提には、ベットだけではなく自分がブラフすると思われているか、相手はペアがあればしつこくコールするタイプか、高いベットにもドローを引きに行くのが好きなタイプかなどの要素を加味して判断する必要があります。
いかがでしたか?
ベット一つをするにしても、そのベットにどのような意味を持たせるのかというのが重要です。
一つ一つのプレイをしっかりと考えてプレイするというのが、上達への近道にもなります。
次回はブラフやフォールドエクイティについて書きたいと思いますのでお楽しみに